半コートにマフラーを巻いても、外気は冷え切って完全に冬本番。
近くのお寺までくると、大イチョウの木が真っ黄色だ。
それを見上げながら思う。
(今の私は元の健康だった自分に戻れるか否かの瀬戸際だ)
今年の春、3月の終わりだった。
歯医者さんの帰りに急に右足が突っ張るように痛み出した。
数日前から、なんとなくおかしかったのだが、そのままにしていたのがいけなかったのか・・・
元々、先天性臼蓋形成不全と診断されている私は、若いころから足腰に不安があった。
例えば、山登りをしても、映画館でちょっと長めの映画を見ても、他の人は大丈夫なのに私はお尻のほっぺが痛くなる。
それがどういうことかわからずにそのまま生きてきたが、どうやら生まれつき股関節に問題があるらしいという事がわかった。
そして最近では、変形性股関節症、および脊柱管狭窄症と診断され手術を進める医師もいる。
えーーこの私が?
学校時代はスポーツもやり、常に姿勢が良いといわれてきた私だった。
自分なりに健康を気遣ってきたつもりだったのに、どうして?
急に右足に痛みが出だした今年の春以降も、その現実が受け入れられず、勿論手術は避けたいと思った。
そして病院をあちこち渡り歩いた結果、今の整形に落ち着いた。
ここの先生は私の足の状態に関して「手術はしなくても大丈夫ですよ」と言ってくれる。
私はその言葉を頼りに、投薬と電気治療を受け、理学療法士にアドバイスされたストレッチや、自身でやってみようと思った「きくち体操」という全身運動を続けている。
だが、内心どこまでそれで成果が上がるのかは疑問だ。
春のころの局所的な痛みは消えたが、今は少し無理をすると足腰全体が張ってミシミシと痛み出してくる。
早く治りたいあまり少し無理なリハビリをしている感じはある。
ただウオーキングだけは短時間だけでも毎日続けようと思う。
散歩は好きだ。
まだ知らない路地裏をぶらぶらしたり、広い中庭のある邸宅を眺めて、どんな人が住んでいるのか想像したりするのは楽しい。
大イチョウの木を一時眺めた後、私は近くの公園に入っていった。
すると、ベンチに若い男性がスマホを手に話をしている。
通り過ぎるとき、「こんにちわ!」と彼は私に笑顔を向けて言った。
「こんにちわ」と私も言って通り過ぎた。
年は二十歳前後だろうか?男性は何処の国かわからないが外国人のようだった。そしてまた、スマホの相手に向かって話し始めた。
これが日本人の若い子だったら、あんな風に気軽に挨拶はしないだろうな、と思った。
私は不意を突かれて一瞬「えっ?!」と思ったが、屈託のない彼の挨拶にちょっぴり気持ちが和らいでいた。
イチョウ並木を歩きながら詩吟を口ずさんだ。
~遠く寒山に登れば 石径(せっけい)斜めなり
白雲生ずるところ 人家あり
車を停(とど)めて座(そぞ)ろに愛す 楓林(ふうりん)の晩(くれ)
霜葉(そうよう)は二月の花よりも紅なり~
山行(さんこう) 杜牧(とぼく)
私の好きな吟剣詩舞家、『早淵良宗さん』の歌声聞いてください。
今年中に足腰を直すのは難しいかもしれないけど、何とか来年は詩吟教室に通えたらと思います。
次回ブログに(つづく)