朝晩かなりヒンヤリとして、とても凌ぎやすい季節になりました。
異常に暑い夏が終わったと思ったら、今度は急な寒暖差のせいか体のバランスが取れず、ちょっぴりご無沙汰してしまいました。
先日、「はてなブログのお題」をなんとなく見ていたら『映画音楽が好き』というお題が目に入りました。
これは私にとっては素晴らしいお題です。
「映画音楽」といえば、私がすぐに思い浮かべるのは古い洋画のテーマ曲です。
若いころから特に洋画が好きで、また出会った人が私以上に詳しかったりで、その影響もあり封切り以外にも名画座へよく足を運びました。
邦画も結構見ましたが、映画音楽となると思い浮かぶのは洋画のバックに流れていたテーマ曲ですね。
その中で、印象に残るものをいくつか記してみます。
※( )は映画名
・タラのテーマ (風と共に去りぬ)
・ひまわり (同名)
・イルカに乗った少年(島の女)
・ララのテーマ (ドクトルジバゴ)
・ムーンリヴァー (ティファ二―で朝食を)
・愛のロマンス (禁じられた遊び)
・ジェルソミーナ (道)
・男と女 (同名)
・風のささやき (華麗なる賭け)
・シェルブールの雨傘 (同名)
・ロッキーのテーマ (ロッキー)
・ゴッドファーザー愛のテーマ (ゴッドファ―ザ)
・時の過行くままに (カサブランカ)
・太陽がいっぱい (同名)
・トゥナイト(ウエスト・サイド物語)etc
これらの映画音楽は、映画館やテレビ、あるいはDVDで見た映画で知ったものもありますが、ラジオの音楽番組や、喫茶店、レストランなどに流れるBGMで耳にしたり、映画を見ることなく単独で知ったものもあります。
華麗なる賭けのテーマ曲、「風のささやき」などはその一例です。
映画音楽の中には、映画はさほどでなくても素晴らしいものがあって単独でヒットしたり、時を超えてスタンダード・ナンバーとして愛される名曲は数多くありますね。
そんな映画音楽に共通していることは、非常に繊細で音楽的に優れ、聞くものを魅了する要素がいっぱいということです。
そこには制作に関わった音楽家の豊かな感性と音楽に対する情熱のほどが感じられます。
世界的にヒットし、長く愛される曲には、ああ、あの作曲家の作品だったのか、と思う場合が少なくありません。
そんな選りすぐりのメロディーがスクリーンの背後にさりげなく流れるとき、映画の魅力は何倍にも輝き、見る者を現実とは異なる異次元の世界へと誘ってゆきます。
そして時を経ても、その曲が流れるだけで映画の一コマ一コマが思い浮かび、かつての感動を再び蘇らせてくれる、それが映画音楽の魅力だと思います。
そんな映画音楽は、もはや映画のテーマ曲というジャンルを超えた一つの芸術作品と言ってもよいのではないでしょうか。
と、ここまで自分勝手に熱くなったところで、次に行きたいと思います。
私の中に印象に残る映画音楽を映画のポイントと共に、いくつかピックアップしました。
【タラのテーマ】 風と共に去りぬ(アメリカ映画・1939年)※日本公開/1952年
監督:ビクター・フレミング
原作:マーガレット・ミッチル
音楽:マックス・スタイナー
アカデミー賞10部門受賞
ョージア州タラの大地主の娘として生まれた激しく美しいスカーレット・オハラ(ビビアン・リ)ーの激動の半生を描く超大作。
美貌と才気、富裕な家柄、すべてに恵まれたスカーレットだったがーーー
初恋の人との叶わない恋、そして偽りの結婚、さらに強く熱い男、レッド・バトラーとの出遭い。
だが、そんな彼の真摯な愛情をもってしても、炎のように激しいスカーレットをその手中に収めることは困難だった。
やがて傷心のレッドはスカーレットとの間に生まれた愛娘を連れて去っていく。
自分が愛していたのは、彼(レッド・バトラー)だった。だが、スカーレットが気づいた時は遅かった。
気が付くと、彼女は彼だけでなく戦争によって家族、知人、友人、家屋敷と何もかも失っていたのだ。
だが、いかなる苦難にあっても、決してくじけないヒロイン、スカーレットは自分が生まれ育った広大な「タラの大地」を思い浮かべて呟く。
「明日考えよう」そして敢然と前を向くのだ。
作品の合間、合間に流れる音楽(タラのテーマ)がスカーレットの不屈の精神とこの作品の壮大なスケール感を盛りあげます。
まだ新人のビビアン・リーは、この作品でアカデミー賞、主演女優賞を手にし、以降、世界的スターとしての道を歩み続けますが、私生活でも波乱に満ちた生涯を送り最後は一人孤独のうちに亡くなったといいます。
お互い家庭を持ちながら恋を成就させた、イギリスの舞台俳優、ローレンス・オリビエとも最後は破綻し、まさしくすべては彼女から風と共に去っていった・・・。
でも、あのグリーンの深い瞳のビビアン・リーは映画「風と共に去りぬ」、そしてタラのテーマと共に永遠に生き続けるのではないでしょうか。
◆音楽・タラのテーマ
🔷【アラビアのロレンス】アラビアのロレンス(米・1963年制作)
監督:デビッド・リーン
音楽:モーリス・ジャール
主演:ピーター・オトゥール
現在、パレスチナとイスラエルが戦っていますが、なぜ中東は過去から現在に至るまで長きに渡って戦わなければならないのでしょうか?
少し前、NHKの番組(映像の世紀バタフライフェクト・砂漠の英雄と100年の悲劇)を途中から見ましたが、それによると二つの部族は、昔、助け合って仲良く暮らしていたそうですが。
何故こうも、こじれることになったのでしょうか?
そこでこのブログでは「アラビアのロレンス」を取り上げました。
主題曲を聴けば、細かい内容はうろ覚えでも、砂漠の壮大な情景は浮かびます。
「これは、第一次世界大戦中、アラブ民族独立に尽力し、一躍、英雄となった(イギリス陸軍中尉T・E・ロレンス)の波乱に満ちた後半生を名匠デビッド・リーンが壮大なスケールと共に、ロマンの香漂う序曲で描いた超大作。
当時、考古学者で優れた戦略家だった彼は、ドイツと手を組んで中東支配を狙うトルコをアラブ諸民族の反乱によって牽制。
ロレンスはいちやく英雄となったがーーー
砂漠とそこに生きるアラブの人を愛したロレンスは、彼らの独立を願っていたが、彼らは部族単位でしか団結出来ない人たちであり、度々、奪略を繰り返すなど、ロレンスは振り回されるだけで彼の理想は空回りする。
そして彼らの独立を支援する、というイギリスの約束も口先だけのものだった。(裏では❛❜事がうまく運べば、中東の占領地区を折半する❛❜というフランスとの密約が交わされていた。それが明らかになった時、ロレンスは二重の裏切りに苦しむ」
名匠リーン監督は、スぺクタクルも交えながら、ロレンスという苦悩する人間のドラマを描きました。
広大な砂漠をワイドスクリーンにとらえた画像、そして、そこに流れるモーリス・ジャールの緊張感あふれる音楽。
この作品もアカデミー各賞を受賞しました。
今回、ロレンスのその後を改めて知ったのですが、英雄と呼ばれた彼は、生涯自分の行為に自責の念を持って苦しんだ、といいます。
そして最後は、バイク事故で人生の幕を閉じたそうです。
中東の問題は元を遡れば根が深く、ここではほんの一端に触れるしかできません。
このところ毎日のようにイスラエルとガザ地区の戦いが報道されています。
何とか双方が穏やかに暮らせる手立はないものか、戦いが終息することを願うばかりです。
◆音楽・アラビアのロレンス
🔷【黒いオルフェ】❛❜カーニバルの朝❛❜ 黒いオルフェ(フランス・ブラジル・イタリア合作映画1959年)
監督:マルセル・カミュ
主演:ブレノ・メロ マルぺッサ・ドーン(ポルトガル語版)
「リオのカーニバルを背景に、ギリシャ神話❛❜オルフェとユリディス❛❜の愛の物語を現代版化した。
出演者はすべて一般人と言われている。
当時はあまり受けなかったようだが、ルイス・ボンファ作曲の主題曲は、映画音楽、ボサノバの曲として世界中のアーティストによってカバーされている」
最近、ユ―チューブで改めて映画を見ましたが、主役の男女がとても初々しく新鮮でした。
清楚なヒロインのユリディスと純朴でたくましいオルフェの出逢い。でも絶えず影のようにユリディスを追う死神のような男。
そのバックには激しく熱いリオのカーニバルが続く。
人々が熱狂して歌い踊るサンバのリズム、それが悲劇への序曲だとも知らず、恋の喜びに酔いしれるオルフェとユリディス。
そしてこの映画を非常に魅惑的に仕上げているのが、ルイス・ボンファ作曲のテーマ曲です。
この曲が世界中の様々なアーティストによってカバーされていることは前述しましたが、私が最も好きなのは『エルゼッチ・カルドーソ』の歌声です。
このブログを書くまでは、詳細は知りませんでしたが、彼女のことを調べてみました。
【エルゼッチ・カルドーソ】
ブラジル・リオデジャネイロ出身
◆歌の貴婦人、神、女神などと呼ばれ、ブラジル音楽史上最も国民的に親しまれた歌手。歌声は力強く慈悲にあふれ、心に訴えかける不思議な力を持つ、とあります。
これで納得しました。
最初はスキャットだけから始まって、途中から歌詞が入った歌声に代わるのですが、どちらをとっても崇高で神秘的です。
他の歌手や演奏もいいけれど、エルゼッチ・カルドーソには何か特別な力が宿っているかのようです。
「黒いオルフエ」この曲こそ、私の好きな映画音楽です。
以上、私の個人的な好みと感想で、不足な点も多々あるかと思いますが、【私の好きな映画音楽】終わりたいと思います。
もうすぐ紅葉の季節、そして風の又三郎がやってきて冬到来。
季節の移り変わりと時の速さに戸惑うこの頃です。