お題「邦画でも洋画でもアニメでも、泣けた!というレベルではなく、号泣した映画を教えてください。」
こんにちわ
ブログ百科ララの杏花です。
今回は、はてなブログの「お題」から私が号泣した映画に関して書いてみました。
邦画、洋画を問わず映画大好きな私が一番に思い浮かべたのはイタリア映画「ひまわり」です。
ヘンリーマンシー二の甘く切ないテーマ曲と広大なひまわり畑をバックに、愛し合い固く結ばれた男女が戦争によって無残にも引き裂かれる物語です。
監督は世界的巨匠ビットリオ・デ・シーカ。
私は大分前に見たのですが、号泣しました。
「おいおい、おいおい」と声を出して泣きました。
どこがそんなに泣かせたか?
日本で大ヒットした恋愛映画の金字塔、日本人が愛した映画史に残る永遠の名作といわれるのはなぜか?
やはり一口では言えないので、この忘れがたい名画についてまだ見ていない方と自分の記憶を新たにするために、ポイントを辿ってみました。
まず「ひまわり」はイタリアの大女優、ソフィァローレン、名優マルチェロ・マストロヤンニの競演で1970年に初公開されました。
そしてこれは初耳だったのですが約50年経った今、「ひまわり」はHDストア版(最新のデジタル技術で修復されて)鮮やかに蘇り、再び脚光を浴びているというのです。
しかも象徴的なひまわり畑の映像は、現在戦火にある「ウクライナ」の小さな村で撮影されたというから驚きです。
(元の映像はスペインのアンダルシア地方で撮影したといわれている)
この映画のタイトルでもあり、象徴的な役割をする「ひまわりの花」ですが、その花言葉は「あなただけを見つめる」。
この映画を見ていくとその意味がよく分かります。
あらすじ
時は第二次世界大戦下のイタリア、陽気なアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)と結婚したナポリ女のジョバンナ(ソフィアローレン)は、夫を戦争に行かせないために狂言芝居までするが、アントニオは地獄のソ連戦線に送られてしまう。
終戦後も戻らない夫を探すために、ジョバンナは一人ソ連に向かい夫の足跡を追う。
だが、広大なひまわり畑の果てに待っていたのは、
美しいロシア娘と結婚し、子供に恵まれた幸せなアントニオの姿だった。
女一人で見も知らない異国をへと行き、やっと愛する人の消息を探し当てたと思ったら・・・。
ジョバンナは一軒の家の庭先に洗濯物を干す若い女性を見つめます。
この時、彼女は一瞬でアントニオの現実を察知したのかもしれません。
このもう一人の女性マ―シャがとても清楚で可憐。
彼女はロシアのリュドミラ・サベリ-エワという女優です。
そして、部屋に通されたジョバンニはマーシャから話を聞かされます。
アントニオは酷寒の戦火ロシアで行倒れとなり、凍死寸前の所を偶然通りかかった彼女に助けられたのでした。
意識の薄れかかったアントニオの身体を懸命に引きずって家まで運ぶマーシャ。
生死の境をさまよった後、娘の献身的な看護によって意識を取り戻したアントニオだったが、彼の記憶は失われていた。
マーシャは、今となっては自分の伴侶となったアントニオが、決してジョバンナを裏切ったのではないということを伝えるかのように話します。
でも、やがてアントニオの記憶は戻ったのでしょう(いつ戻ったのかはわかりませんが)
その時の、アントニオの苦悩はいかばかりだったか?
映画の前半では陽気だったアントニオの顔が、後半では非常に哀愁に満ちた表情に変わっています。
そして、いよいよクライマックスのシーン。
駅にジョバンナとマーシャの姿が映し出されます。
そこへ列車が入って来るのですが、中からアントニオが降りてくるのです。
仕事から帰ってきたのでしょうか。
何も知らない彼は、妻が迎えに来たと思い抱擁しようとしますが、マーシャはそれを止めて少し離れたところに立つジョバン二を指さします。
アントニオは・・・声もなく呆然とジョバンナを見つめる。
ジョバンナも万感の思いを込めてアントニオを見つめます。
本当なら奇跡的に出会えた二人は、ひしとばかり抱き合うところでしょうが、ジョバンナとアントニオはただ見つめ合うだけです。
やがて列車が出発の汽笛を鳴り響かせると、ジョバンナは弾かれたように列車に飛び乗ります。
中の乗客に手助けされ車中の人となったジョバンナ。
それをただ見つめるアントニオ。
乗客に手を引っ張られ、なんとか列車にのったジョバンナでしたが、緊張の糸が切れたのでしょうか。
加速する列車の中で乗客たちの前もかまわず絶望の声を上げ泣き崩れるのです。
それを何事があったのかと驚愕して見つめる乗客たち。
ここで泣かない人がいるでしょうか?
もしいたら相当な人ですね。
私は手放しで泣きました。
やっと会えたアントニオは、他の女性のものだった。
ジョバンナの生きる望みは、無残にも打ち砕かれたのです。
彼女がその後、どのように生きていったのか?
ひまわりの花言葉のように、アントニオだけを見つめて生きてきたジョバンナ。
彼女の太陽は失われたのです。
その後しばらくして、アントニオがイタリアのジョバンナを訪ねるシーンがあります。
二人は部屋で向かい合って話しています。
アントニオは、ロシアからジョバンナに毛皮の襟巻をプレゼントに持って会いに来たのでした。
アントニオには、再びジョバンナとやり直すことが出来たらという思いがあったかもしれません。
二人が何を語ったのかはっきりとは覚えていませんが、もう二人に話し合う将来はなかったと思います。
それを象徴するように、隣室から赤ん坊の泣き声が聞こえてきます。
それはジョバンナが懊悩の末に新たな人生を生きはじめていることを示唆するものだったと解釈しました。
ジョバンナは悲しみのどん底からはい上がるために、新たな生きる望みを見つけなければならなかった。
再会のシーンでジョバンナがアントニオに言った言葉が印象的です。
「愛なしでも生きられるのね」
これはアントニオにとっては苦しい言葉です。
でも彼はは酷寒の地で行倒れとなった時、一度死んだでしまったのでしょう。
その後の人生は、生きるために生きている。
そして、アントニオに再会し失意のどん底でミラノに帰ったジョバンナもまた「愛なしでも生きていかなくてはならなかった」。
ビットリオ・デシーカは、この映画を単なる恋愛映画としてだけではなく、
一種の反戦映画として制作したといわれています。
『戦争を実感としては知らなくても、わかっていることは戦争とは人間の運命を大きく狂わせる残酷なものだということです』
50年の時を経て新たに蘇った「ひまわり」は、2022年の春ごろから全国の劇場で緊急公開されましたが、今はすでに終了しているようです。
でも、ひまわりの動画が期間限定付きで(2023年1月1日まで)無料配信されたりと、他にみる機会はあるようです。
このひまわりを契機に、今後も過去、現在の名画探しをしてゆきたいと思います。
映画好きの方、これはすごい!というものがありましたら是非教えてくださいね。