2月に入って、冬もど真ん中。
今日はお昼ごろから、雨または雪が降るとの予報。
もし雪になった時は、ある程度の積雪になるとのことです。
窓を開けてみると、外は冷え切った曇り空。
確かに、この水分を含んだ大気の感じ、いつもとどこか違う・・・・・・
私は微かな期待をもって鈍色の天を見上げた。
やっぱり冬は雪がちらついてほしい、花びらのような白い雪。
ただ、雪は少し降るのは風情があっても、際限なく降るのは困ります。
幼少時、山陰のチラチラ降る小雪を眺めて育った私だったが、後に寒さ厳しい北の大地の両親の元に移り、白銀に埋もれた生活を余儀なくされた。
そこでの猛吹雪や、ホワイトアウトの怖さも知っている。
雪に限らず、自然はいいときはいいけれど、本当に牙をむいたときは恐ろしい。
吹雪の夜、どこぞのおじさんが雪倒れで亡くなった、という話も子供のころ聞いた。
だからやっぱり、雪もほどほどにーーー
そんなことを思いながらテレビの画面に目をやると、能登の瓦礫跡が映り、次いで仮設住宅が完成したとの話が流れる。
仮設住宅は、2DKと4LDKが合わせて10数戸で、沢山の希望者のうち加入出来た人は、ほんの一部だという。
冷暖房のエアコン、トイレ、キッチンなど設備の整った、新しい家に入ることができた初老の男性は「きれいで立派なところに入ることが出来て感激しました」と語っていた。
一方、知人と肩寄せ合って車中泊をしたりして、なんとか急場を凌いできた方たちも、この地を離れていく人、ここに残る人と別れが来たようです。
水道も電気も復興が何時になるかわからないとあって、他の地へ移っていく方、そのまま残る方も、どちらにしても様々な葛藤があるようです。
その中で、とても印象に残ったある女性がいらっしゃいました。
養殖場は、先の大地震でやられ、そこへ行く桟橋も壊れているのですが、
彼女は毅然と語ります。
「ここを離れず、何時かはきっとまた再開できると信じてやっていきます。
焦らず、気長にやっていきます」
頭から大判のスカーフをかぶり、少女のように赤いほっぺたをして力強く言い切る彼女に感動・・・・・・
彼女よりずっと若そうな町長さんも来ていましたが、彼もこの女性の言葉に多いに鼓舞されているかのように見えました。
「焦らずに、焦らずにね・・・」と女性に励まされながら、手を握り合っていました。
強い女性だな・・・お歳は幾つくらいなのだろう?と思わず考えましたが、82歳でした。
この凛とした信念が伝わってくるような物言い、この方のこれまでの生き方がしっかりしたものだったのに違いないと感じました。
ただそうはいっても、もう若くはありません。
足腰は大丈夫なのだろうか?と見ていると、歩き方は少し辛そうです。
ご家族は?一人で生活しているのだろうか?
そんなことが過ぎりますが、でも、この方の精神力、魂の強さには打たれました。
こういう潔い心意気、見習いたいと思います。
その後、雑用をあれこれ足し、ときおり外を見るがまだ空はしんとして動かず。
ところが、12時を少しすぎたころ窓を開けてみるとーーー
雪です、雪が降っている。
やっぱり降ったんだ・・・・・・雪。
しばらく、雪の降り落ちる白い天空を見上げました。
(その後の情報では、かなりの積雪になるようです)