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幸せな人生を送るために書くブログ集

【深まる秋】芥川賞作家/市川沙央さんと考える読書バリアフリー

 

このところ一気に冷え込み、土手の並木は早くも晩秋の装い。

木々に残る葉っぱはわずかとなり、どこか寒々としています。

 

 

金木犀の小花が甘く香りながら散ってゆきます。

 

 

11月になれば更に寒さが増し、北国では雪も降り積もるでしょう。

でも考えてみれば、私は暑い夏より寒い季節のほうが案外好きなのでした。

 

きりっとした大気の中、ざっくりとしたコートにマフラーを巻いて歩く、冬はなぜか気持ちが上向くのです。

 

でも、ここ数か月、足腰の不具合で悩んでいる私にとって冷えは大敵。

もう寒い季節が好きだなんて、意気がっていられるかどうか・・・。

 

最近始めた「きくち体操」を続けて、何とか体を整えてゆきたいと思います。

 

     ◇

 

ところで、2023年上半期に第169回芥川賞を受賞した「市川沙央さん」を再びテレビで見る機会がありました。

 

NHKEテレで放送された「バリバラ(バリアフリーバラエティーショウ)」という番組を録画していたもので、タイトルは「芥川賞作家/市川沙央さんと考える読書バリアフリー

 

市川さんはリモートで、スタジオには数人の障害者の方と、そして自宅で取材を受けた方たちが出演していました。

 

市川さんは冒頭でこう語りました。

「私の問題は、本が読みにくいことでした。本を持てない。重くて自身で管理できない。だから、どうしても読みたいものがあっても諦めなければならない」

 

先天性ミオパチーという重度の障害を持つ市川さんは、本を愛するがゆえに、紙の本が憎い、そして健常者優位(マチズム)の今の世の中に怒りを感じると述べていました。

 

その後、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の方は、幼いお子さんに絵本を読んで聞かせてあげていましたが、徐々に症状が進みそれがかなわなくなりました。

母子の幸せな、かけがえのない時間が失われてしまったのです。

 

そのほか、弱視、難聴の方、知的障害のある方がそれぞれの立場から「読書バリアフリー」についての苦労話を語っていました。

 

その間リモートの市川沙央さんは、みんなの意見を静かに見守るように聞いていましたが、司会者が話をむけると、やや強い口調で言いました。

 

電子書籍をけして出さないベストセラー作家や、その筋の出版社に問い合わせの手紙を出しましたが、すべてスルーされてなんの返答もありませんでした」

「そこで私は社会の人に知ってほしいと、怒りをもってエイヤ!とその思いを”ハンチバック“にぶつけました」

 

障害者の皆さんが共通して訴えていたのが、紙の本が読みにくい、読みたい本が自分たちにも読めるような対策を是非講じて欲しいというものでした。

 

日ごろなんの考えもなく本を手にして読むのが当たり前の側の身としては、思いがけない事実を突きつけられた感じです。

 

考えてみれば夏のころ2か月くらい、きき手の左手を怪我してしばらく型をはめていた時は、包丁を持って料理することも、自分で髪を洗うこともままならなかった不自由さが思い出されます。

 

そこへ行くと障害者の方たちは、比べ物にならない程の不自由さを感じなければならず、いつ自分たちの望みがかなうのかもわからないのです。

 

今回の番組で知りましたが、2019年に「読書バリアフリー法」というものができたそうです。

 

法律成立を受けて、出版界では、電子書籍、オーディオブック、点字版、テキストデータなどがさらに幅広く普及してきているようですが、それでも様々な障害を抱える人たちの問題がすべて解消されるまでとはいかないのが現実のようです。

 

「読みたい本が読めない」

身近に障害を持った人がいない場合、案外今回のようなことに思いが至らないかもしれません。

でも、自分や自分の家族などがそうした状況に陥った場合、当然突き当たる問題です。

 

 

最後に市川沙央さんは力強く、こう締めくくっていました。

 

私はこれからも障害者を取り巻く理不尽さをペンの力で訴えていこうと思います」

 

勇敢な頼もしい女性が現れたなあ、と感じました。

 

私自身も今回のようなテーマに関心を持ち、改めて意識を強く持っていきたいですし、市川沙央さんの心意気に拍手を送り、今後の創作活動に注目していきたいなと思っています。

 

やっと訪れた読書の秋に、誰もが楽しく本を読めるようなそんな世の中になっていけばいいですね。

 

それでは皆様、寒さの折、お体に気をつけてお過ごしください。

 

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