こんにちわ。
ブログ百科ララの杏花です。
早いものですね。
「明けましておめでとうございます!」
そんな風にご挨拶をと思っていたのに、あっという間に時間が経って早松の内も過ぎました。
ちなみに門松を立ててお正月を祝う松の内というのは、関東では1月7日まで、関西では1月15日までだそうですね。
お正月といってもほんの気持ちばかりの事しかしない私は、お雑煮とおせち料理は伊達巻き、栗きんとん、黒豆、なます、煮しめ、そして日本酒とつまみにカズノコわさび等を用意して過ごしました。
そして年明けの3日には近くの神社へ散歩がてらお参りに行ってきました。
でも浮世の習いごとである年賀状などは、いつからか書くのを辞めたので来てもほんの何枚です。
こちらには寒中お見舞いとして近況などを書いてお返しします。
出来るだけ既成の習慣にとらわれない生活をと思っても、やはりまだまだそこからすっかり外れることは難しいようです。
ただ、今年初の記事のタイトルは「私の2022年・2023年にやりたいこと」ですが、私の今後目指す方向性は、いくらかはっきりしてきた感じです。
まず2022年の秋口に始めた「詩吟」、これは私にとって大きな出会いでした。
子供の頃から音楽と本を読むのが好きだった私ですが、これまで歌ったり聞いたりした様々な曲のジャンルの中で詩吟はかなりぴったりくるものがあります。
漢詩、和歌などの詩吟には、その時代の生活、政治、人物、歴史などが織り込まれ遠い昔に生きた人々の思いが様々に表現されています。
それを出来るだけ真直ぐな地声で朗々とうたうのが良しとされている詩吟ですが、
他の歌と違うのは誤魔化しがきかない。
うたい方は詩によって強く激しく、時に柔らかく優雅にと様々な吟じ方があり、シンプルだけれど飽きることがない。
2022年は、ライターの仕事をしばらくやった後に何気なく始めた詩吟でしたが、思いがけなく新たな世界を見つけたという思いです
毎日、発声練習と唄のレッスンを欠かさず、詩吟教室以外にもユーチューブなどで様々な人の吟を聞いて学びました。
中でも突出した詩吟を聞かせてくれるのは「早淵良宗」という詩吟と剣舞もやる吟剣詩舞家!
この方の「富士山」を聞いた時、あまりの素晴らしい歌声に感動しました。
そして初めて受ける昇段試験にはその「富士山」を選びました。
試験を受けるなど頭になかったのですが、精進の為にと会の規則になっています。
10月くらいから土手や川の傍に行って練習すること3ヶ月あまり、1千回以上は唄ったでしょうか。
年明け2023年の1月吉日、試験会場であるホールにて審査の先生方や沢山の生徒さんたちが見守る中、無事歌い終えました。
審査員の先生方は、皆、励ましとやさしさをもって一人一人を批評して下さるので、そのまま受け取るのはどうかと思うが「とても良かったですよ。これからもしっかり精進して下さい!」との言葉にほっと胸をなでおろし会場を後にしました。
昇段試験はともかくとして、良かったことは詩吟に出会って日々の生活に張りが出来ると同時に詩吟教室で友人ができたこと。
コロナ下でかつての友人とも次第に疎遠になっていたのが、今は教室に行けば週一で会うことが出来、お互い新人同士切磋琢磨している。
さて詩吟の事はさておいて、今年2023年にやりたいことは今の住まいを他に移すかどうかという問題です
コロナ下で移住する人が増えてきている昨今ですが、私はかなり前から田舎暮らしを思い描いていました。
「自然の中で暮らしたい。
自給自足的な暮らしがしたい。
そう思いながら、実行には移さないままきた。
関東圏にある今の地に住んでもう長くなるが、この辺で大きく生活を変えたい。
今こそ長年温めたことを現実にすべきではないか?
そんな思いがふつふつと湧き上がってくる。
それで場所はどうするか?
やはり幼い頃離れた出生地、山陰の城下町か?
あの懐かしい海と山のある町ではないか?
その後成人して何度か行ったきり、もう住むことはない幻の地と思っていたけれど、
最近になってそこへ帰ることを思い描いている。
なぜ、今までそうせずにいたのだろう?
これまで不思議と自分の家を持ちたいと思わず気の向く所で暮らしてきたが、
何時かあの地へ帰ろうという思いがあったからなのかもしれない。
ただ心配なのは、本気なのかどうかだ。
自分は移ろいやすい心の人間なのでそこが心配だ。
あの白砂と松林のある海だって一度見に行けば気が済むのではないか。
また町だって山だって昔と大分変っているかもしれない。
母方の田舎だったが、母も最近亡くなったし親戚があると言っても疎遠になったままだ。
また、そこに住む人だって人情がある人ばかりとは限らない。
思い切って行ったはいいが、万一がっかりするなら行かないほうがマシではないか。
あれこれ思ううちふと、故郷は遠きにありて思うもの、そして悲しく歌うものー
という室生犀星の詩が浮かんだ。
小景異情:室生犀星
- ふるさとは遠きにありて思ふもの
- そして悲しくうたふもの
- よしやうらぶれて異土の乞食となるとても
- 帰るところにあるまじや
- ひとり都のゆふぐれに
- ふるさとおもひ涙ぐむ
- そのこころもて
- 遠きみやこにかへらばや
- 遠きみやこにかへらばや
これは室生犀星が故郷の金沢に帰った時詠んだものだといいます。
東京で暮らしていた犀星が故郷を懐かしんで帰ったものの、そこは彼にとって思ったより心地よいところではなかったようです。
室生犀星は昔読んで好きな作家でしたが、改めて調べて見ると数奇な運命の元に生まれた人でした。
「室生犀星は加賀藩の下級武士と女中の間に私生児として生まれ、生後間もなく近くにある雨林院という寺に引き取られその後養子となる」
この後の詳細は省きますが、彼はこの生立ちだけを見ても並外れて孤独な星の元に生まれた人でした。
だから悲しい詩をつくり美しい小説を書いたのでしょう。
確か杏子(あんずっこ)と言う作品があったのを思い出しました。
もう一度、読んでみようと思います。
そして移住の事は、焦らずゆっくりと考えてみようと思ったのでした。