今年の中秋の名月は9月29日、合わせて満月が重なるというので、その時刻には外に出て夜空を仰ぎました。
満月と中秋の名月が重なるのは、2021年から今年にかけて3年連続で、次は7年後とのことです。
8時をまわったころでした。ほんの数日前にはまだ欠けていた月が、今は青く仄暗い天上にまん丸として輝いていました。
煌々と輝く月を眺めていると、日頃あれこれ頭を悩ませていることが些細なことに思えて、心の中がまっさらに澄み渡っていくようです。
平安時代に中国から伝わったといわれる、月を愛でる習慣「中秋の名月」。
じりじりと太陽が照り付けた後にやっと訪れた初秋の月。時を忘れてしばし見入りました。
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では、「秋に聞きたい音楽」2選をご紹介します。
①【赤鬼と青鬼のタンゴ 】
これは以前、私が所属していた朗読の会で(泣いた赤鬼)という童話を取り上げた時、演出で使った歌です。NHKのみんなの歌でやっていたので、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、いつ聞いても楽しく浮き浮きしてきます。
こちらで紹介できる音源は下のものだけになりますが、全体をお聴きなりたい方はユーチューブで検索してみてください。
尾藤イサオのバージョン、そして(うたうふうふ)がおススメです。
ところで鬼って本当にいるのでしょうか?
私の10代のころ親しかった友達は、山のほうに住んでいて「私、鬼を見た」と言いましたが半信半疑です。
でも、世の中には妖精を見たという人もいるし、もしかしたらこんもり深い山奥には、赤鬼や青鬼が住んでいるのかもしれませんね。
月のきれいな秋の夜には、そんなことも想像したりします。
そして次に聞きたいのは
②【冲仁 フラメンコギター(スペイン)】
音楽はジャンルを問わず、どの分野にも何かしら好きなものがありますが、フラメンコもその一つです。
フラメンコとは?
スペイン南部の「アンダルシア地方」を中心に伝わる民族芸能。
さらに言えば、フラメンコはロマ族と呼ばれるジプシー(定住せずにヨーロッパ各地を移動する民族)がインドからスペインのアンダルシアへ移動して現地人(アラブ系)の民族と融合して生まれた、といわれている。
だが、自分たちの生き方に反して定住を強いられたジプシーたちは、その嘆きや苦しみを歌や踊り、ギターに込めて表現したという。
2010年、フラメンコはユネスコの無形文化遺産に登録される。
フラメンコに魅かれたのは、あの独特な足を踏み鳴らしドレスを翻して踊る姿、嘆き、苦しみ、叫ぶような歌声、そして激しくかき鳴らされるギターの調べ。
他の音楽にはない独特なリズムと情念に引かれてのことでした。
一時、フラメンコの店に出入りしたり、当時人気だったフラメンコダンサーに憧れたり。そして時を経て、再びその魅力に呼び覚まされることになったのはフラメンコ・ギタリスト冲仁(おきじん)でした。
冲仁【おき じん)
1974年生まれ。日本のフラメンコ奏者。
2010年、スペイン三大フラメンコギターコンクールの一つ「第五回ムルシア“ニーニョ・リカルド“フラメンコギター国際コンクール」国際部門で優勝。日本人として初の快挙。
今回取り上げた「スペイン」は、冲仁がソニー・ミュージック移籍第一弾アルバムから。
~スペイン(チック・コリア作曲)~
ジャズ楽曲の名曲で、世界中の演奏家にカバーされているが、特にギタリストに人気が高いのが特徴。
今や世界的なフラメンコギタリストとなった冲仁の演奏をお楽しみください。