秋分の日を過ぎて急に秋めいてきたこの頃。
朝の大気がひんやりと爽やかに感じられます。
先日の散歩道では、公園に曼殊沙華がひっそりと咲いているのに出会いました。
長く目を楽しませてくれた、百日紅(サルスベリ)の花が終わりかけて
次は赤い曼殊沙華の花が咲く。
花も木もちゃんと季節に対応して生きているのだな、と感心します。
そんな中、私はふと山形に住む兄の妻、K子さんのことを思い浮かべました。
(いけない、すっかり忘れていた・・・)
彼女は自転車で転んで骨折し入院していたのですが、9月の半ばに退院すると
弟から聞いていたのです。
そのことを異様な猛暑日続きのせいでグッタリし、つい忘れてしまった。
私はすぐK子さんに手紙を書きました。
コロナ時に兄が亡くなってからも、ときおり手紙のやり取りをしてきた彼女は
いつも素敵な文(ふみ)を送ってくれる人でした。
心のこもった文章に、自宅の庭に咲く季節の花々の写真を同封して送ってくれます。
「これはTさん(兄の名前)が丹精込めて育ててくれたバラの花です。とっても癒されます」
などと書き添えて。
ピンクのバラの写真を眺めながら、私は逝ってしまった兄を想った。
理想家で誇大妄想癖のある兄と、堅実で生真面目なK子さんは大學が同期で早くに
結ばれたが、いろいろ確執もあり決して平坦な人生ではなかった。
夫婦間に何度か離婚話もあったようだが、兄は「僕はK子さんが好きだから」
と言って最後まで別れなかった。
K子さんは小学校の先生を勤め上げ、娘二人は独立、そして夫が他界し一人になった
今、骨折事故にあった。
私はぼんやりしていた自分を急き立てるようにして、彼女に送るものを探しに
出かけました。
K子さんは甘いものが好きだったから、いつものように和菓子か何か・・・と思ったが、今回は滋養のあるものをと奮発して「ハンガリー産のアカシア蜂蜜」、そして彼女の好きな「紅茶」にしました。
そして書店で、彼女の気に入りそうな婦人雑誌を一冊購入。
K子さんの退院から10日は経ってしまったけど、これでひとまず安心。
それにしてもK子さん、これからは一人で生活しいくのが大変そう。
3カ月の入院中にリハビリもしたというが、どこまで回復したのだろうか?
同じ東北の岩手に住む弟からは「K子さんは、週に何回かヘルパーさんに来てもらうことになったようです」というラインがきていたが。
仙台に住む長女は、仕事が多忙で頻繁に行くことは出来ず、いろいろ手配をしたらしい。
私は郵便局でゆうパックを出し終えてほっとした帰り道、花屋さんで桔梗を一鉢買いました。
秋の花にはコスモス、リンドウ、ニチニチソウなどいろいろありますが私はこの
どこか儚げな桔梗が好きです。
花言葉は、色によって違いますが紫は「永遠の愛」「変わらぬ愛」「気品」「誠実」。
この花言葉には、悲しい物語があります。
《あるところに戦いに出た夫を10年間待ち続けた若い娘がいました。
夫が戦いから帰ってくる日に、妻が他の男性と宴の準備をしていたところを
目撃した夫は、妻が別の男と結婚したと勘違いしてしまいます。
その後、妻は身の潔白を証明するために自ら命を絶ってしまいました。
自らの過ちに気がついた夫も、妻の後を追って命を絶ちました》
そして悲しくも二人の命は永遠となってしまいました。
また紫は古来から高貴な色とされているので、そこから「気品」という花言葉が付けられたとされています。
(GreenSnap HPより引用)
桔梗は、昔から野原などでも見かけた花ですが、今では絶滅危惧種だそうです。
でも何とか生存し続けて、毎年その清楚な姿を見せてほしいですね。
そんな桔梗に愛を込めて一句。
紫の 五弁花(ごべんか)ゆかし 桔梗かな